山高きが故に貴からず、
樹有るを以て貴しとす。

　実語教の冒頭の一文です。最近自殺に至る深刻ないじめ問題が多発し、教育論議が盛んに行われています。戦後切り捨てられてしまった『修身』が見直されつつあるのもこうした状況を転換させたい思いからでしょう。その中で『実語教』に活路を求める人が徐々に増えていることは注目されるべきことだと思います。
　実語教に関しては、野口芳宏先生が『言葉と作法』（登龍館）というご著書の中で『実語教』一部分を紹介されており、私はこの小冊子により実語教について知ることができました。。私は教員時代に、国語教育の『名人』として野口先生を尊敬しておりました。その野口先生が退職後著された『言葉と作法』という冊子は国語教育の枠をを超え、道徳教育の基本として子供たちや子育て中の親御さんにお勧めしたい一冊となっています。24.9.2（裕）

[28回]

　天地の初めの時、高天原に成りませる神の名は天之御中主神、次に高御産巣日神、次に神産巣日神、此の三柱の神は、並獨神成りまして、身を隠したまひき。
・・・（読み）あめつちのはじめのとき、たかあまはらになりませるかみのみなはあめのみなかぬしのかみ、つぎにたかみむすびのかみ、つぎにかみむすびのかみ。このみはしらのかみは、みなひとりがみなりまして、みみをかくしたまひき。


　古事記の冒頭です。読み方は「高(たか)天(あま)原(はら)」だけでも「たかあまはら」「たかまのはら」「たかまがはら」の三種類があります。古代の日本語の発音を漢字で表したものを時代が下って読むのですから、どう読めば良いのか考えが分かれてしまうのは仕方がないと思います。しかし、共通しているのは神のことを表している場合、『名』とあっても『みな』、『身』とあっても『みみ』と美称を付け加えて読み表してきたことです。声に出して繰り返し読めば古代の響きが伝わってくるようになります。24.8.25（裕）

[21回]

素読テキストより
大事を為そうと思ったら、小さなことでも怠らず努力をすることだ。全ての物事は小が積もって大と為る。二宮尊徳
　私が通っていた小学校には、薪を背負った二宮金次郎の像がありました。しかし、教員として務めたころには近隣のほとんどの学校から金次郎の像は姿を消していました。戦後教育が封建的なものを排除しようとして捨て去ったものに、捨ててはならない大切なものがたくさんあり、そのひずみが表面化しているのが日本の現状のように思われます。東日本大震災の被災地を訪れた時には、被災を免れた学校はもとより、被災した小学校にも金次郎の像が建っているのを見て東北は大丈夫だと感じました。24.6.15（裕）

[21回]

　「置漏尅於新臺。始打候時動鍾鼓。始用漏尅。此漏尅者天皇爲皇太子時始親所製造也。云々。」
　読みくだし文・・・漏尅を新しき台に置く。始めて候時を打つ。鐘鼓を動す。始めて漏剋を用いる。此の漏剋は天皇の　皇太子に爲（ましま）す時に、始めて親（みづか）ら製造（つく）りたまふ所なりと、云々（うんぬん）。
　日本書紀に記されている天智天皇が造られた日本最初の水時計に関する文章です。『時の記念日』は天智天皇１０年四月辛卯を今の暦に直した西暦６７1年６月１０日を記念日としたものということです。
　時を浪費することを戒める日であると思います。（裕）

[27回]

吉田(よしだ)松陰(しょういん)
万巻(まんがん)の書(しょ)を読(よ)むに非(あら)ざるよりは
寧(いずく)んぞ千秋(せんしゅう)の人(ひと)たるを得(え)ん
　きのうは昼から雨が降り出し、夜に入って大雨となりました。いよいよ梅雨入りが近づいてきたようです。小さな畑ですが、まほろばの会のサツマイモを育てるために毎朝畑に通って畝づくりなどしていましたが、晴耕雨読の読書の季節を迎えるにあたって松蔭先生の文章を朗誦してみました。24.6.9（裕）　
   

[35回]