一日一時を記せば一年の中三百六十字を得。一夜一時を怠らば百歳の間三万六千時を失う。　吉田松蔭
　まほろば教育事業団の全国研修会でお会いした寺井一郎先生の影響で、一日に一文ずつ松蔭先生の言葉を読むことに決めました。上の文章から自分の失った時間の大きさを思い知らされます。松蔭先生の三十年は、私が百歳まで生きてもなお足りるということはあり得ません。しかし、今後は一夜一時を怠ることの無いよう心がけていこうと思います。24.6.5（裕）

[23回]

　放たれしまつかはの稚魚は大槌の海の面近くしばしただよふ　　今上天皇

　今日の産経新聞朝刊に、岩手県大槌町のがれきの中から陛下の歌碑が発見されたことが報道されていました。
　平成９年に大槌町で開かれた『全国豊かな海づくり大会に御出席になられて時の御製で、平成１０年３月に大会会場となった公園に建てられた御製碑が震災で行方不明になっていたとのことです。
　私は昨年、５月と６月に大槌町を訪れ、大槌町の方にずいぶんお世話になりましたので本当に町民の方々と共に喜びたいと思います。
　この御製碑の発見が大槌町の町長の言われるように「町民一丸となって両陛下を迎え、形になった御製碑。再び町民一丸となり震災から乗り越えるシンボルにしたい。」の言葉通り『復興の象徴』として町民を励ますことと信じてやみません。24.5.30（裕）

[18回]

あだ波をふせぎし人はみなと川神となりてぞ世を守るらむ　　明治天皇

　今日は５月２５日ですが、１３３６年の５月２５日は湊川にて楠木正成、正季兄弟が討ち死にした日であります。
正季最後の一念は
「七生まで唯同じ人間に生まれて、朝敵を滅ぼさやとこそ存じ候へ」
それに対して正成も
「罪業深き悪念なれども、我も斯様に思ふなり。いざさらば同じく生を替へてこの本懐を達せん」
と答えて枕を並べて差し違えたのであります。
　この湊川に向かう途中、櫻井の駅で正成は子の正行を故郷の赤坂に帰します。櫻井の駅跡は現在三島郡島本町にありますが、高槻からも隣にあたり、高槻小学校には楠公父子の像が今も残っています。
　「正成一人未だ生きて在りと聞し召され候はば、聖運ついに開かるべしと思し召され候へ」
と後醍醐天皇に奉答して、歴史の舞台に登場してより討ち死にするまで、たかだか５年間ぐらいではありますが、楠公の言葉の響きは日本民族のある限り消えることはないでしょう。24.5.25（裕）

[15回]

ぽつぽつと　闇に穴あく　蛍かな
　今の季節は玉川の卯の花と新川のヒメボタルが私の関心事です。新川のホタルは私のカメラではどうしても真っ暗になってしまいます。この写真で思い出したのが『ぽつぽつと』の句です。禅宗のお坊さんのの句であることには間違いないのですが作者は失念しました。どこに蛍がいるのかじっと見ても分かりません。
　なん」だか自分のやっている『素読の集い』のようだと感じてしまいます。しかし、確かに草むらの中で星座のようにｊ光る蛍たちはいるのです。日本の各地で『素読』広まりつつあるのです。蛍は一匹が光るとそれに反応するように周りも光り出します。私の光は安物のカメラでは映らないほどの小さな暗い光でも、周りの仲間も光り出すことを信じて頑張ろうと思います。24.5.23（裕）

[13回]

　卯の花のこぼるる蕗の広葉かな　　　蕪村
　夕づけて水に音なく降る雨は卯花くたす初めなりけり　　上田秋声
　
　今日はわずかですが雨が降りました。夕方畑に行くと柿の花がいっぱいこぼれていました。玉川の里の卯の花は満開を迎えている頃でしょうが、早く咲いた花から散り始めているかもしれません。卯の花くだしといえるほどの降りではないと思いますが、上田秋声の和歌のように卯の花を降す初めなのかも知れません。本格的な長雨の前に、今週中にもう一度玉川の里を訪れてみたいと思います。24.5.22（裕）

[18回]