『ヒーローたちのオリンピック』というＮＨＫの番組を見ました。第２回目で100ｍの金メダリストを取り上げていました。その中で、メキシコ五輪でオリンピック史上初めて１０秒の壁を破ったジム・ハインズの言葉には驚かされました。「100ｍは長い。みんな100ｍはあっという間に終わると思っているかもしれないが、すべての筋肉を燃やしつくすんだ。走り終わったらくたくたになるんだ。『100ｍは長いんだ』」というのです。私も100ｍはあっという間に終わってしまう競技だと思っていた一人でした。
　同じ100ｍで、オリンピック史上初めて２連覇を成し遂げたカール・ルイスはソール五輪後スランプに陥りますが、その時を振り返って、「疲れたんだ。高校生の時から全力で走り続けていたんだ。逃げたくなった。」と言います。復活するのは、リロイ・バレルといいうライバルが出てきて自身の世界記録を破られてからです。「引退するか、走り続けるか。」と決断を迫られ、「走り続ける。」と決めてからだということです。ルイスは1991年の世界陸上でバレルを破り、再び世界新記録を打ち立てます。敗れたバレルはスタートダッシュが素晴らしかったのですが途中で追い抜かれます。バレルも世界新記録だったのに敗れたのです。「ここだけの話、90ｍ走だったらよかったのにと思ったよ。」と語っていました。
　ルイスとバレルの話を聞いて改めて『100ｍ走は長いんだ。』というハインズの言葉が、世界の頂点に立つ短距離走者達の偽らざる実感だと思いました。彼らにとっては100ｍはマラソンよりも長いのかも知れません。（裕）

[28回]

自宅から１００ｍも離れていない所で桜のライトアップをしているのを昨日初めて知りました。ふれあいセンターと用水路の間の遊歩道３０ｍぐらいの桜並木ですが、両端にペットボトルを利用した蝋燭立が歩道を照らしているのも趣があり、近づくまではペットボトルとはわかりませんでした。ライトアップがいつから行われているのかわかりませんが、去年まで気がつきませんでした。桜の花で覆われた遊歩道を通りぬける人はちらほら居りましたが、まだそんなに多くはありません。歳を経るごとに多くの人が通り抜けるようになり、いずれこの付近の桜の名所となるのではないかと、そういう気がいたしました。（裕）

[26回]

ふるさとは湖底ミナソコとなりつ移し来しこの老桜咲けとこしへに　高碕達之助​
　今日、広報高槻が配布されてきました。
　最後のページに『弁天公園に荘川桜を記念植樹』というタイトルで岐阜県高山市から贈られた記事が載っていました。しかし、記事には高崎達之助のことが一言も書かれていないことが残念でなりません。
　荘川桜は近年プロジェクトＸなどで紹介されるなど有名にはなっていますが、電源開発（当時は公社）の初代総裁として御母衣ミホロダムなどの建設を推進した高崎達之助がダムの底に沈む運命にあった老桜を惜しみ、移植する発起人となりあ私財をなげうち協力者を集めて救った２本の桜の巨木のことです。
　高山市から荘川桜の実から育てられた苗木を贈られたのは、高槻市が高崎の出身地だからです（高崎が生まれた時は合併よりずっと前の三島郡三箇牧村）。そのことを特に子供たちには伝えていくべきです。（裕）

[29回]

　今日は『素読の集い』チラシを配って回りました。高槻の花見の名所の一つ、庄所の新川の桜の近くも通りましたが家族連れでにぎわっていました。今日も日中は良い陽気で子供たちは春休みの最後の日を家族と一緒に思いっきり楽しんでいる様子でした。住宅地の公園にも桜がありましたが、小さな子どもたちが遊んでいるだけでした。

　ぶらんこや　桜の枝を　持ちながら　　一茶

　明日は大阪では２０℃まで気温が上がり、今年一番のポカポカ陽気になるとの天気予報ですので桜が満開となるのは間違いないでしょう。
　退職して２年が過ぎましたが、始業式の日の天気は気にかかります。チラシを配りながら、寿栄小学校、芝生小学校、丸橋小学校の桜を見て回りました。芝生校の桜は校庭の端にあり100ｍほども続き、校庭の横を通る用水路に枝を垂れ、それは見事なものです。（裕）

[29回]

　言葉は人間が生み出したが、一旦言葉が生み出されると言葉が心を育てるようになるということを前に書いたことがあります。
　今回は言葉がものの見え方を決めてしまうということについて述べてみたいと思います。
　日本人は『牛』を見たら遠くからでも、『牛』がいると思うでしょう。しかし、英語には『牛』に当たる言葉はありません。牛は必ず『cow』、『ｏｘ』、『bull』のどれかであって、それらを、まとめた概念の『牛』に当たる言葉がないのです。ですから、遠くから『牛』を見た時、『cow』かな『ｏｘ』かな『ｂｕｌｌ』かなと注意深く見つめることとなると思います。それを見分けてから初めて『ああｃｏｗがいる。』と感じるのではないかと思うのです。
　虫の声に関しては日本人は人の声と同じように左の脳で聞き取ります。日本人以外では右の脳で雑音として処理されるのです。日本人は『松虫』『鈴虫』『コオロギ』『キリギリス』『クツワムシ』など様々な虫の名前を知っているし、それぞれの虫の声の違いを聞き分けることができます。学術用語としての虫の名前はあっても、英語には日本語のように鳴く虫の名前を言い表す言葉が無いということです。
　他にもいろんな言葉の違いがあると思いますが、言葉がものの見かた、感じ方を決めるのです。（裕）

[67回]